- この記事のハイライト
- ●認知症で実家売却が困難になる可能性がある
- ●成年後見制度で不動産売却を代行する方法を解説
- ●後見人選定・裁判所許可の必要性を確認する
親が認知症になることは、誰にとっても心を揺さぶられる大きな出来事です
ご家族の将来や介護費の工面など、抱えなくてはいけない事がどんどん出てくると思います
その結果として、実家が空き家になるケースも増えており、「どうすればいいのか?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか
この記事では、親が認知症になり、不動産の売却が必要な場合の対処法について詳しく解説していきますので、ぜひ安心材料にしてください。
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親が認知症になった場合
親が認知症の場合不動産においてどんなことが想定されるか改めて見ていきましょう
まず、親が認知症になった場合、実家が空き家になることがよくあります。
介護施設に入所したり、病院に長期入院したりすることで、元々住んでいた家が使われなくなるためということ一番の要因ではないでしょうか
空き家の状態が続くと、管理が行き届かず、建物の劣化や空き巣のリスクが高まることが心配となってきます。
空き家の管理と介護費用の問題
さらに空き家の管理はとても大変なことが多いのです。庭の手入れや定期的な換気、修繕など、時間と労力が必要となるからです。
それと同時に介護費用もかかるため、家族にとっては大きな負担となってきます。
例えば、月々の介護施設費用と空き家の維持費を両立させるのは容易ではありません。
そこで、不動産を売却して資金を確保する選択肢が浮かぶかもしれません。
親が認知症の場合の不動産売却の難しさ
認知症が進行している場合、親自身が不動産を売却することは難しくなります。
なぜなら、売却には本人の意思確認が必要だからです。
しかし、認知症が進行すると、適切な判断が難しくなり、意思表示ができなくなることもあります。
これが、不動産売却を進めるうえでの大きな壁となるのです。
認知症が進行している場合の売却の難しさ
認知症が進行している場合、売却手続きにおいて家族が代理で進めることが求められますが、これには法律上の手続きが必要です。
例えば、家族が不動産を売却しようとしても、親の意思確認が取れない状態では、契約が無効になる可能性があります。
このような場合、司法書士による意思確認が重要となります。
司法書士による意思確認の重要性
司法書士は、法律の専門家として、親の意思確認を行います。
この確認がなされることで、売却手続きが法的に進められることが保証されます。
司法書士による確認がなければ、後々トラブルが発生するリスクもあるため、慎重な対応が求められます。
認知症になった親の家を売却する方法
ここでは、親が亡くなった後や、成年後見制度を利用する場合の不動産売却の方法について解説します。
親が亡くなってから売却する場合
親が亡くなった後、不動産を売却する場合、相続の問題が関わってきます。
相続人が複数いる場合、全員の同意が必要となるため、手続きが複雑化することもあります。
相続税の支払いなど、金銭的な負担も考慮しながら計画的に進める必要があります。
成年後見制度の基礎知識
成年後見制度とは
成年後見制度とは、認知症などで判断能力が低下した人の権利や財産を守るために、家庭裁判所が選定する成年後見人が代わりに意思決定を行う制度です。
この制度により、本人の意思を最大限尊重しつつ、適切なサポートが提供されます。
任意後見制度の概要
任意後見制度では、本人が元気なうちに、自分の後見人を事前に選んでおくことができます。
これにより、信頼できる人に後見を任せることができ、将来の安心感が得られます。
法定後見制度の概要と分類
法定後見制度は、すでに判断能力が低下している場合に、家庭裁判所が後見人を選定する制度です。
保佐や補助といった形で、必要に応じて支援の度合いが調整されます。
詳しくは厚生労働省のページをご覧ください|
ご本人・家族・地域のみなさまへ成年後見制度とは
法定後見制度を利用する際の注意点
法定後見制度を利用する際、家庭裁判所が選んだ後見人が必ずしも家族とは限りません。
また、後見人が選ばれることで、親の財産管理が家族の手を離れることもあります。
そのため、家族の意向と制度の運用とのバランスを取ることが大切です。
必ずしも子供が後見人になれるわけではない
「親の後見人は、やはり子供がなるべきでしょうか?」と考える方は少なくありません。
しかし、現実には必ずしもそうではありません。法定後見制度において、後見人を選ぶのは家庭裁判所の役割です。
そのため、子供が後見人になりたいと希望しても、場合によっては他の第三者が選ばれることがあります。
たとえば、後見人の候補者に多額の借金があったり、親との関係が不安定だったりする場合、裁判所は家族ではなく、弁護士や司法書士といった専門家を選ぶことがあります。これにより、親の利益が守られることが優先されるのです。
そのため、「自分が親の後見人になれるはず」と思い込まず、制度のプロセスを理解し、柔軟に対応することが大切です。
仮に自分が選ばれなかった場合でも、親のために「何が最善か」を考えサポートする姿勢が求められます。
第三者が選ばれた場合の報酬の発生
もし、家庭裁判所が弁護士や司法書士といった第三者を後見人として選んだ場合、その後見人には報酬が発生します。
この報酬は、後見人の職務に対する対価として支払われるものです。
たとえば、毎月の財産管理や契約手続き、報告義務など、後見人の役割には多くの責任が伴います。
具体的な例を挙げると、後見人が選任され、親の不動産売却をサポートする場合、その業務には契約の締結や売却手続きの進行が含まれます。
そのため、その分の報酬が発生します。報酬の額は、家庭裁判所が適切な水準を決定しますが、一般的には数万円から数十万円に及ぶことが多いです。
また、この報酬は、親の財産から支払われることが原則です。
したがって、親の財産状況を考慮に入れ、報酬の支払いについても事前に理解しておくことが大切です。
費用の負担を最小限に抑えるためには、後見人の選定にあたり、どのような費用がかかるのかを確認し、適切に対応する必要があります。
自由に売却できない点への注意
成年後見制度を利用して親の不動産を売却する際には、「自由に売却できない」という制約が存在します。
たとえば、家庭裁判所の許可がなければ、不動産を売却することはできません。これは、親の利益を守るための重要な制度です。
実際に、後見人が家庭裁判所に売却の許可を申請する際、売却価格が適正かどうか、売却が本当に親の利益になるかを詳細に検討されます。
たとえば、売却価格が市場価格よりも極端に低い場合、許可が下りないこともあります。
これは、後見人が親の財産を守るために最善を尽くしているかどうかを確認するためです。
そのため、後見人として不動産を売却する際には、市場調査を行い、適正価格で売却できるように準備を整える必要があります。
さらに、売却の目的や使用計画についても、裁判所に対して明確に説明できるようにしておくことが求められます。
後見申し立てから不動産売却までの流れ
後見制度を利用する場合、どのような流れで進めていけばよいのか、戸惑いを感じる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、その手続きの流れについて、具体的な例を交えながら解説していきます。
1. 後見開始の審判申し立て
まず最初に行うべきは、家庭裁判所に対して後見開始の審判を申し立てることです。
例えば、親が認知症を患い、日常生活で判断が難しい状況になったとき、誰かがその親の財産や契約に関する意思決定を代行しなければなりません。
後見人を選定するためには、親の状況を詳しく説明し、必要な書類を揃えて提出することが求められます。この手続きは時間がかかることもあります。
たとえば、書類の不備があれば審査が滞ってしまうことも考えられます。したがって、焦らずに丁寧に進めることが重要です。
2. 家庭裁判所の調査と診断プロセス
後見申し立てが受理されると、家庭裁判所が親の健康状態や認知能力を調査します。
このプロセスでは、親が本当に後見人を必要としているかどうかを慎重に判断します。
ここで行われるのが、医師による診断や家庭裁判所の担当者による面談です。
例えば、「親が財産管理について全く分からなくなってしまった」という状況があれば、それを証明するための医師の診断書が必要となります。
この診断プロセスを通じて、親の状況に最も適した後見人が選ばれることになります。
3. 成年後見人選定後の手続き
家庭裁判所が親に対して後見人を選定すると、後見人としての役割が正式に始まります。
ここからは、親の財産を管理するための具体的な手続きを進めていくことになります。
たとえば、銀行口座の管理や、日常生活で必要な契約の代行など、親の生活を支えるために多くの責任がのしかかってきます。
この段階で特に重要なのは、親の利益を守ることです。後見人として、親の意思を尊重しつつ、最善の選択を行うことが求められます。
例えば、親が長年住んでいた家を売却する際には、感情的な側面も考慮しながら進める必要があります。
4. 不動産売却活動の開始
後見人の役割が始まったら、いよいよ不動産の売却活動をスタートさせます。
しかし、通常の不動産売却とは異なり、後見制度を利用している場合、売却には家庭裁判所の許可が必要です。
このため、通常よりも時間がかかることがあります。
たとえば、「親の家を早く売りたい」と思っていても、裁判所の許可が下りるまでには数週間から数ヶ月かかることもあります。
この期間中、後見人は親の利益を守りつつ、最適な売却条件を探すことが重要です。
5. 家庭裁判所の許可と売買契約の締結
家庭裁判所の許可が下りると、ようやく売買契約を締結することができます。
この時点で、売却価格や契約条件が親にとって有利であるかどうかを再確認する必要があります。
たとえば、売却価格が市場の相場に見合っているかどうかや、契約条件が公正かどうかをしっかり確認しなければなりません。
ここでのポイントは、後見人として親の財産を守るために、慎重に判断することです。
もしも不安や疑問があれば、専門家に相談しながら進めることが重要です。
6. 残代金決済・物件の引渡し
売買契約が成立した後、最後に残代金の決済と物件の引渡しが行われます。
このプロセスは、通常の不動産売買と基本的には同じですが、後見人として親の利益を第一に考えながら進めることが求められます。
例えば、売却代金の受け取りや、引渡し時に発生する費用の管理など、細かな点まで注意を払いながら進める必要があります。
この段階でのミスは、後々のトラブルにつながる可能性があるため、慎重に対応しましょう。
不動産売却は親の生活を支えるための重要な手続きですが、後見制度を利用する場合、その流れは通常の売買よりも複雑です。
親の利益を最優先に考え、手続きを進めることが大切です。
そして、家族や親族と協力しながら、適切な判断を下すことが、成功のカギとなります。
もし、迷いや不安がある場合は、専門家の助けを借りながら、しっかりと進めていきましょう。
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成年後見制度の利用に関するQ&A
成年後見人の報酬について
成年後見人には、その役割に応じた報酬が支払われます。
この報酬は、親の財産から支払われるため、後見人に選ばれた方もその点を理解しておく必要があります。
たとえば、親の財産が少ない場合、報酬の支払いが家計に与える影響も考慮しなければなりません。
報酬の金額や支払い方法については、家庭裁判所が判断し、決定しますので、不明点がある場合は確認しておくことが重要です。
★成年後見制度を途中で取り消すことは可能か?
成年後見制度を途中で取り消すことができるのか、という疑問を持つ方もいるかもしれません。
実際、成年後見制度の取り消しは可能ですが、条件が必要です。
例えば、親の判断能力が回復し、自身で財産管理ができると家庭裁判所が認めた場合や、後見人が職務を適切に果たしていないと判断された場合です。
しかし、これらの取り消しには法的な手続きが必要であり、また家庭裁判所の判断を経るため、簡単に行えるものではありません。
具体的な手続きについては、専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。
その他のよくある質問
成年後見制度に関する質問としては、後見人の選定基準や、後見人の役割・責任範囲、さらには親の財産管理に関する具体的な事例についての質問が多いです。
たとえば、「親の財産をどのように管理すれば良いのか?」という質問や、「後見人としての責任はどこまで負うのか?」といった疑問が典型的です。
これらの質問に対する答えは、ケースバイケースで異なるため、個別の事情に応じた適切なアドバイスを受けることが重要です。
まとめ
認知症の親が持つ不動産を売却する際には、数多くの法的手続きや注意点が存在します。
成年後見制度を利用する場合、その制度の利点とリスクをしっかり理解し、計画的に進めることが求められます。
特に、後見人としての責任や、家庭裁判所の許可が必要な場面では、慎重さが求められます。
親の大切な財産を守るためには、時間をかけてでも確実に手続きを進めることが重要です。
不動産の売却は、親の介護費用や生活費を確保するための一手段ですが、その過程で家族全員が納得できる形で進めることが理想です。
もし、判断に迷ったり、困難に直面したりした場合には、専門家の意見を取り入れることも視野に入れてください。
わたくしどもナルロワンでは、お客様に寄りそって不動産の売買ができるご提案をしております。。
ご質問などありましたら、いつでもご連絡お待ちしております。