共有不動産の売却について

2023-04-17



不動産を1人で所有する単独名義と違い、共有不動産には特有のルールがあります。
不動産を複数人での共有名義にしている場合、簡単に不動産を売却することができません。
「共有者が単独で行えること」と「単独では行えないこと」があります。

◆共有不動産とは◆
2人以上と共同で不動産を保有すること。
夫婦でローンを背負っていく夫婦間の共有のほか、親と子供で家を建てる親子間の共有、親が亡くなったり相続に伴う親族間の共有など共有の形態もいろいろです。

共有名義の共有者の持分は共有者の出資割合に応じて登記されています。
夫婦間の共有の場合でも、[夫9/10・妻1/10][夫1/2・妻1/2]など共有持分の割合はさまざさです。

共有者の共有持分が1/2や1/3しかないときでも、共有者は共有名義の不動産の全部を使用することができ、自分の持分だけを単独で自由に処分することが可能です。


共有持分の全部を売却するには共有者全員の同意が必要

一般的な不動産売却の際、登記の権利証や登記識別情報、土地の測量図や境界確認書類などが必要です。
これら以外に共有者全員の実印と印鑑証明、免許証などの身分を証明できるものを準備します。
各共有者が保有している権利証や登記識別情報といった所有権移転登記に必要な書類が整っているかあらかじめ確認しておくことが大切です。
もしすべての書類がなくても所有権移転登記の手続きは進められますが余計に費用や時間がかかる場合があります。
*登記識別情報=所有権の登記名義人になった人に対して登記官から通知される12桁の英数字。
従来の権利証に代わるもので登記完了後に登記識別情報通知といった書類で通知されます。

売買契約時や決済時には共有者全員が立ち会うことが原則となります。
それぞれ直筆でのサインが求められます。


他の共有者が代理人となり、売却手続きを代理して行うこともできます

共有名義の不動産を売却するときは、原則共有者全員が売買契約や代金決済などの取引の場に立ち会う必要がありますが、共有者の一部の人が契約や代金決済の場に立ち会えなかったりする場合もあります。
そのようなときは、他の共有者に手続きを委任することができます。
他の共有者に手続きを委任するときは、売却に関わる一部の手続きの委任かすべての手続きの委任かを明確に記述した委任状を作成します。
委任者が委任状に実印にて署名捺印し、委任者が受任者に代理権限があることを取引関係者全員に証明できるよう委任者の印鑑証明書を添付します。

土地や中古戸建の取引の場合、代金決済までに、隣接する土地の所有者との間でお互いの敷地の境界を現地にて確認するための境界確認が必要となる場合があります。
この境界確認も売却に関わる手続きの一部であるため、原則共有者全員の立会いが必要ですが、契約や代金決済同様ほかの共有者に委任することも可能です。

不動産の売却にはさまざまな手続きが必要となりますが、必要な手続きに立ち会えない共有者がいるときは、委任状を作成してほかの共有者に手続きを代理してもらうことが可能です。
認知症等による成年後見人が共有する不動産を売却するときは、成年後見人が成年被後見人を代理して手続きを進めることにりますが、ほかの共有者が成年後見人を兼ねているときは、成年被後見人の成年後見人であることを証明する登記事項証明書を用意することが一般的です。


自分の持分だけを売却することも可能

相続財産分与の際に親族間同士で共有した不動産を売却するときは、共有者全員の同意がなかなか得られない場合があります。
共有者全員の同意が得られないときは、自分の持分だけを第三者に売却することが可能です。
売却までに時間がかかったり、売却先が限定されたり、売却価格が安くなってしまう場合もあります。
共有者に自分の持分を買い取ってもらうという方法もありますが、共有不動産が比較的おおきな更地の場合、共有持分に応じた割合で土地を分けてから(分筆)、単独名義の土地として売却する方法もあります。
ただし、土地の分筆を行う際は、敷地面積の最低限度といった地区計画等が指定されている場合や、分筆する土地の形状によっては土地の価値が変わってしまう場合がありますので、土地家屋調査士や宅地建物取引業者に相談してください。




売却で得たお金は持分に応じて分配する

共有不動産を売却して得たお金とかかった経費は、共有者の持分割合に応じて分配・負担するのが原則です。


共有不動産を全員で売却するときによくあるトラブル

売却活動の途中で売却に反対する共有者が出る
売却価格の合意を共有者間で得られない
売却代金を受け取った代表者が現金を分配しない


共有不動産の売却でトラブル防ぐための対策

最低売却価格をあらかじめ決めておく
代表者を決めてから売却活動の窓口を一本化する
共有不動産の実績が豊富な不動産会社に仲介を依頼する
ほかの共有者の持分を買い取ってから売却する


共有不動産全体の売却が難しければ自分の持分のみ売却

自分の持分は自分の意志のみで売却できる
持分のみの売却はほかの共有者への売却がおすすめ
土地であるなら分筆してから売却する


共有不動産を全体で売却する流れ

①共有者全員の同意を得る
②不動産会社に売却の査定を依頼する
③適切な不動産会社に売却を依頼する
④購入を検討している人がいたら内覧に立ち会う・質問に対応する
⑤共有者全員が立ち会って契約する
⑥残金決済・引渡しをする
⑦売却代金を共有者間で分配する

中でも重要なのは①共有者全員の同意を得ることです。
1人でも共有者が売却に反対している場合、共有不動産は売却できません。
反対している共有者の持分割合が少ない場合でも、必ず共有全員の同意を得る必要があります。

共有不動産の所有権の状態を確認して、だれが持分を所有しているか?を正確に把握してください。
共有者の連絡先がわからないなど、全員の同意を得られない場合は、共有不動産に詳しい弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。
そして、共有者全員から売却の同意を得た場合、必ず口約束だけでなく書面に残しておくことをおすすめします。




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