所有期間が5年以内の不動産売却について気を付けること

2023-04-21


保有してからわずか数年の不動産を売却することにより利益が出る場合、税金について注意が必要です。

ポイントはその不動産の所有期間が5年を超えているかどうかです。
5年を超えてから売却すると税率が有利になります。
しかし、5年以内の短期譲渡でも税金の負担が必ずしも大きくなるとは限りません。
適用できる控除や短期譲渡をするメリットなどについて解説します。


不動産の売却益(譲渡所得)に税金がかかります
不動産を購入したときの価格よりも高く売却した場合、利益(譲渡所得)ば出れば、税金がかかります。
不動産の売却益は分離課税の対象となるため、給与所得などとは分けて計算し確定申告をしなければなりません。
(分離課税とは、事業所得や給与所得などの総合課税とは別に、その所得のみに独自の計算式や独自の税率を適用して所得税の計算をする方法です。
分離課税には不動産や山林所得・株の譲渡所得・退職金所得・利子所得などがあげられます。)


税金は譲渡所得に対してされる
税金は不動産の売却価格の全額に対して課されるわけではありません。
税金は利益(譲渡所得)に対して課せられます。
課税の対象となる課税譲渡所得金額は、次のように計算します。

収入金額ー(取費+譲渡費用)ー特別額=課税譲渡所得金額

収入金額とは不動産の売却価格(譲渡価額)のことです。
売却によって利益が出たかどうかは、この課税譲渡所得金額で判断されます。
この金額がプラスならば課税対象となります。


課税譲渡所得の計算
課税譲渡所得金額は、土地や建物を売った収入金額から取得費・譲渡費用・特別控除額を差し引いて計算します。


収入金額(売却価格・譲渡価額)
土地や建物を売ったことによって買主から受け取った金額です。


取得費
売却した不動産を購入した時の価格やその際にかかった仲介手数料などの合計です。
取得費を求めるためには、不動産購入時の契約書や領収書などを基に金額を出します。
先祖代々の土地など、購入当時の資料がなく購入価格が不明な場合は、収入金額の5%相当を取得費とすることができます。
また実際の取得費が収入金額の5%を下回る場合も5%を取得費として計算してよいことになっています。

例えば、土地建物を3000万円で売却した場合に取得費が不明のときは、売却した金額の5%相当額である150万円を取得費とすることができます。
また、売却した不動産が建物の場合は、購入代金や建築代金から減価償却費相当額を差し引きます。
減価償却とは建物を購入したときの金額から経過年数分の価値の減少を差し引くことです。


譲渡費用
不動産を売却するためにかかった費用です。
不動産会社に支払った仲介手数料や印紙税などです。
土地を売るために建物を取り壊した費用や、賃貸住宅を売るために賃借人に支払った立退料なども含まれます。


特別控除(3000万円特別控除など)
土地や建物を譲渡した場合には様々な特別控除があります。
代表的なものとして自分が居住中の一戸建てやマンションを売ったときの3000万円特別控除があります。
マイホーム(居住用財産)の売却では、一定の要件を満たすと譲渡所得から最大で3000万円まで控除できます。
例えば5000万円で取得したマンションが3年後に7000万円で売却した場合、差額は2000万円になりますが、控除の範囲内なので譲渡所得の課税はなくなります。
これは所有期間の長さに関係なく譲渡所得から最高3000万円を控除できる特例です。

このように控除が適用できると、短期譲渡所得であっても金額によっては負担がなくなります。
特別控除の特例を適用できるのか確認しておくといいでしょう。



不動産の所有期間によって変わること
土地や建物を売却して利益が出た場合、つまり課税譲渡所得金額がプラスの場合、所得税と住民税、復興特別所得税(2037年まで)を納めることになります。
(東日本大震災の復興のための所得税)
所得税と住民税の税率は、土地や建物の所有期間によって変わります。
不動産を売った年の1月1日現在で、その不動産の所有期間が5年を超える場合は[長期譲渡所得]の税率、5年以下の場合は[短期譲渡所得]の税率になります。


[長期譲渡所得]
*所得税:15%
*住民税:5%

※2037年までは復興特別所得税があるため、所得税15%+復興特別所得税0.315%(所得税額の2.1%)+住民税5%  計20.315% となります。

[短期譲渡所得]
*所得税:30%
*住民税:9%

※2037年までは復興特別所得税があるため、所得税30%+復興特別所得税0.63%(所得税額の2.1%)+住民税9%  計39.63% となります。

税率を比較してみると、5年を超えた長期譲渡所得にかかる税率は、短期譲渡所得の場合のおよそ1/2となります。
所有期間5年を境に税率が大きく変わります。
このように税率に違いを設けているのは、短期的な譲渡が盛んに行われることで、市場の不動産価格が不安定になるのを防ぐためです。
不動産の売却時期が適切か考える際には所有期間を1つの判断材料としてください。





10年超所有の軽減税率の特例
10年を超えて所有していると、一定の要件を満たすことでさらなる優遇税制が適用されます。
売却したマイホームの所有期間が10年を超えている場合は、長期譲渡所得の税額よりもさらに低い軽減税率が適用できます。
10年を超えているかどうかは売却した年の1月1日を基準に考えます。
不動産の取得後、1月1日を11回迎えたなら10年を超えていることになります。
軽減税率を適用でできるのは、3000万円特別控除を適用した後の課税所得金額です。
具体的な税率は次のようになります。

[課税所得金額が6000万円までの部分]
*所得税:10%
*住民税:4%

※2037年までは復興特別所得税があるため、所得税10%+復興特別所得税0.21%(所得税額の2.1%)+住民税4%  計14.21% となります。

[税所得金額が6000万円を超える部分]
*所得税:15%
*住民税:5%

※2037年までは復興特別所得税があるため、所得税15%+復興特別所得税0.315%(所得税額の2.1%)+住民税5%  計20.315% となります。

5年以内の短期譲渡所得に対する税率と比較すると大きな差があります。
不動産売買では、短期間の投機的な売買が盛んに行われてしまうと、市場が安定しないため、長期所有に対する税率を段階的に優遇することで、市場のバランスをとっているのです。





不動産売買のタイミング
建物は新築の時に最も価格が高く、年数を経るにつれて価格が下落していく傾向にあります。
特に中古分譲マンションなどは、築浅であるほど買い手がつきやすく高値で取引される傾向にあります。
このため建物が高く売れるタイミングで売却することができれば、5年以内の売却で税負担があっても結果的に得をしていると考えることもできます。

土地の売却においては所有期間が長いからといって価格が下落するとは限りません。
土地価格は市場の動向により変わるものなので、仮に短期譲渡所得に該当しても時価が高い時に売却できれば結果的な収支はプラスになる可能性があります。




専門家に相談してください

土地建物を売却した場合の税金には様々な控除や特例があります。
税金の仕組みは非常に複雑で誤解や見落としを招きます。
不動産の売却益にかかる税金については、税務署や税理士に相談することをお勧めします。



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