自宅を売却したいけどどうすればいいのかわからないと不安に思う方も多いと思います。
不動産会社の力を借りて大切な不動産を売却する方法や注意すべき点を解説します。
個人や法人が所有している不動産を売却する場合、広告の実施や契約の手続き等所有者自らが行うことも可能ですが、専門的な知識が必要な場面が多いためすべてを自分自身で行うのはかなり大変な作業となります。
また契約や引渡しの手続きが複雑なため専門家が介入しなかった場合はトラブルが発生し、解決するために相当な労力を要することとなるので、不動産売却時にはプロである不動産会社へ依頼するのが一般的です。
不動産売却の流れ
1.不動産会社へ売却の相談をする
2.不動産会社で物件の確認・調査をした上で、査定をしてもらう
3.媒介契約を結ぶ(一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約)
4.売却活動の準備
5.売却物件のホームページ掲載・チラシ作成、現地販売会等の売却活動を行う
6.購入希望者が見つかったら売買契約を締結をする
7.売買契約後の手続き(住宅ローンの残債がある場合は抵当権の抹消・戸建の場合は引越しの準備等)
8.残代金の決済・引渡し
1.売却の相談
先ずは不動産会社へ相談し、以下の点を伝えましょう。
・売却の目的・動機
・売却の期限
・売却の希望金額
自宅を建てたときや物件を購入したときの売買契約書やパンフレットなどの資料を持参すると話がスムーズに進みますが、資料がなくても問題ありません。
所有している物件の住宅ローンが残っている場合は、ローンの残額も調べておいてください。
物件の良い点はもちろんですが、悪い点も隠さずに伝えるようにしましょう。
物件に何らかの不具合があるにもかかわらず、伝えていなかった場合はのちのち大きなトラブルになる可能性があります。
不動産会社へ相談する前に、自分自身で物件の売却相場を調べておきましょう。
不動産会社によって査定額にばらつきがあります。
提示された査定価格が妥当なのかわからないので、前もって相場観を調べておきましょう。
物件の相場は以下のような方法で調べることができます。
*不動産サイトで似た条件の物件価格を調べる
*国土交通省の不動産取引価格情報検索サイトを調べる
*国税局の路線価図を調べる
2.物件の確認・調査・査定をしてもらう
不動産会社のスタッフに実際に物件を見てもらいます。
以下の項目を確認したうえで総合的に判断し査定額を算出します。
◇土地面積
◇築年数
◇建物面積
◇方角
◇経年劣化状況
◇設備状況
◇接道状況
◇日当たり
◇周辺環境
査定により算出された額はあくまで査定額であり、実際にこの価格で売れるという保証はありませんので注意してください。
3.媒介契約を結ぶ
提示された査定額に納得できたら、次は媒介契約を結びます。
媒介契約とは、不動産会社に売買の仲介を依頼するときに締結する契約であり、この契約を交わさないと不動産会社が仲介して物件を売ることができません。
媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約があります。
どの媒介契約にするのか内容を理解した上で契約を結んでください。
■一般媒介契約
売主は複数の不動産会社と一般媒介契約を結ぶことが可能ですし、自分で見つけた買主と取引することも可能です。
一般媒介契約では、不動産会社は売主に販売状況報告をする義務はありませんし、契約期間の定めもありません。(一般的には3ケ月です)
複数の不動産会社に依頼したい場合は一般媒介契約でよいでしょう。
■専任媒介契約
一社の不動産会社のみと媒介契約を締結しますので、ほかの不動産会社と契約することはできませんが、一般媒介契約と同様に自分で見つけた買主と取引することは可能です。
契約期間は3ケ月を超えることはできず、期間が終了しても自動的に更新されることはありません。
更新を行う際は文書にて更新手続きを行います。
不動産会社は2週間に一度売主に販売状況を報告する義務があります。
■専属専任媒介契約
一社の不動産会社にすべてを任せる契約です。
他社との契約、自分で見つけた買主と取引することはできません。
契約期間は3ケ月を超えることはできず、期間が終了しても自動的に更新されることはありません。
更新を行う際は文書にて更新手続きを行います。
販売状況報告義務は1週間に1度なので事細やかに状況を知ることができます。
3.売却活動の準備
スムーズに売却するためには物件の見た目を整える(綺麗にする)ことが重要です。
不動産会社が写真を撮る前に掃除をして綺麗に整えることにより、購入希望者が見つかる可能性があります。
以下の部分は購入希望者の目に留まりやすいので入念なチェックが必要です。
■キッチン・風呂・洗面所・トイレなどの水回り
■床・壁・窓
■押入れなどの収納スペース
■庭木や雑草の手入れ
ハウスクリーニングを依頼するなどして物件の見た目を整えておくのも良いでしょう。
費用がかかりますが売却のための投資として、多少お金をかけてでもきれいな状態を整えておくことをおすすめします。
5.売却活動
不動産会社はインターネットやチラシなどに物件情報を掲載しますので、どんなふうにインターネットやチラシにに掲載されているのか確認してください。
見栄えの良くない写真を使っていたりしたら撮り直してほしいなど、改善してほしい点の要望を出しましょう。
購入希望者が見つかったら、物件の内覧や契約条件、引渡しのスケジュールなどを調整し売買契約の締結という流れになります。
内覧時の印象を良くするために掃除や整理整頓は事前にやっておきましょう。
6.売買契約の締結
購入希望者から購入したいという申し出があった場合は、不動産会社を通じて契約に向け細かな条件などの調整を進めていきます。
価格の交渉や引渡し日など、先方が出してきた条件に納得ができないときも不動産会社がしっかり対応してくれますので、条件はきちんと不動産会社へ伝えておきましょう。
条件を調整後、売主と購入希望者の間で合意がなされれば売買契約の締結をします。
7.売買契約後の手続き
売買契約を締結後は主に以下のような手続きを行います。
*現在支払っている住宅ローンを完済させる(抵当権の抹消)
買主に移転登記するためには住宅ローンを完済する必要がありますので、ローンの残債がある場合は登記手続きまでに返済しておきます。
手持ちの現金がなくても、引渡し時に買主から物件の代金を受け取りそれを返済に充てることができます。
*測量の手配
不動産を売却する際には敷地の面積、隣地・道路との境界を明確にするため測量が必要となります。
*引越しの手配
引き渡す物件に居住している場合は、入居日までに買主が入居できるように引越しの手配もしておきます。
8.残代金の決済・引渡し
引渡し日には売主・買主・不動産会社・司法書士が金融機関に集まり、移転登記などに必要な書類の確認を行い残代金の決済を行います。
ローンの残債がある場合は残代金を受け取った後に清算し、その後司法書士が移転登記手続きを行い、残代金の領収書と鍵を買主に渡して引渡しとなります。
一連の手続きが完了したら物件の売却は完成です!
不動産を売却するためにはさまざなな手順を踏まなければならず、注意しなければならない点も少なくありません。
トラブルなくスムーズに物件の引き渡しが完了できるように、専門家の手を借りながら一つひとつ着実にこなしていきましょう。