相続した不動産の売却の流れを解説します

2023-07-08


亡くなった親から家を相続したけど自宅が遠方にあるため売却を考えているが、どのように手続きをしたらいいか、どんな風に進めていけばいいのか分からない、利用予定のない家や土地などの不動産を相続して困っているなど、相続した不動産を売却する手順と売却時に発生する税金について解説します。
相続人が複数いる場合は誰が所有者になるのか、どのように分けるのかといった揉め事の原因となりやすいため、トラブル回避のためにも特に利用する予定がなければ相続した不動産は売却することをおすすめします。


相続した家や土地などの不動産を売却するメリット


□相続財産分割時のトラブルが生じにくい
□不動産の管理費や税金がかからなくなる
□一定期間内に売却すると特例や控除が受けられる

何人かで1つの不動産を相続したけれどそのまま放置している場合、毎年の固定資産税や管理のための費用がかかるだけでなく、いざ売却するとなった場合名義人全員の同意を得なければならないため手続に時間と労力がかかります。
また売却時期によっては、相続に伴う売却で適用できる控除や特例が使えないこともあります。
将来的に売却するつもりなら早めに売却することををおすすめします。


□相続財産分割時のトラブルが生じにくい


相続人が複数いる場合、亡くなった人や遺言状や法律に則って相続財産(遺産)の分割をします。
これは相続財産が現金や物品であっても家や土地などの不動産であっても同じです。
不動産の場合は1つとして同じものがなく定価もないため現金のように明確に分けることができません。
そのため相続財産を分割する際、不動産のままで分けるよりも売却で得た現金を分けるほうがトラブルが生じにくいといえます。


□管理費や税金がかからなくなる


所有者が亡くなったとしても家や土地などの不動産には固定資産税が毎年課せられ、適切に維持するためには管理費用がかかります。
マンションの場合は管理費や修繕積立金を支払わなくてはなりませんが、売却してしまえばそれらの費用はかかりません。
相続人が複数いる場合誰がどれだけ負担するのかといったことで揉める心配もなくなります。


□特例や控除が受けられる


不動産を相続した場合相続税がかかります。
また相続した不動産を売却して利益を得た場合は譲渡所得税も納めなければなりません。
しかし一定期間内に相続して売却すれば相続税や譲渡所得税の特例や控除を受けることができます。
そのためいずれ売却するのであれば適用できる期間内に売却するのがおすすめです。


相続した不動産を売却する流れ


ステップ①:遺言書・遺産の確認
不動産の所有者が亡くなった際の手続きを行います。
先ず、遺言書の有無と遺産の確認します。
遺言書がある場合は遺言書に従って相続人が決まります。
遺言書がない場合は、相続人を決めるための遺産分割協議が必要です。

ステップ②:遺産分割協議
遺言書がない場合や遺言書に同意しかねるという場合は、相続人全員で話し合いを行い分割方法を決めます。
不動産など分割できない場合は4つの分割方法で分けていきます。
現物分割不動産など分割できないものをそのままの状態で財産を分ける方法
土地の場合、土地を分割(分筆)し相続人がそれぞれの土地の所有者になる

*代償分割=不動産を分割せず特定のひとりが相続する代わりに、他の相続人に対して同価値のものを相続したり、相続に応じて金銭を支払って平等に分割する方法

*換価分割=財産を受け取ったものが、ほかの者に差額金などを支払う
現金化すれば公平に分割できるので協議する手間が省けますが、相続人全員の同意を得る必要があります

*共有分割=各相続人の持分を取り決めて共同で遺産を相続する方法
売却の際は全員の同意が必要となります

ステップ③:相続登記して名義人の変更を行う
遺産の分割後不動産などの遺産を相続したら名義変更を行います。
前所有者が亡くなっても所有者の名義はそのままになっているため売却することはできません。
売却するためには所有者名義を故人から相続した人の名前に変更する必要があります。
名義変更を行うためには以下の書類を揃えて管轄の法務局に提出します。

≡相続登記に必要な書類≡
*亡くなった不動産所有者の戸籍謄本
*亡くなった不動産所有者の住民票の除票
*相続人の戸籍謄本(相続する人全員のもの)
*相続人の印鑑証明書(相続する人全員のもの)
*相続人住民票(相続する人全員のもの)
*不動産の登記情報がわかるもの(登記事項証明書など)
*不動産の固定資産評価証明書
*遺産分割協議書または遺言書(検認を受けたもの)

※相続登記をすると不動産評価額の0.4%の登録免許税が課せられます。
必要な書類は自分で用意することも可能ですが、司法書士など専門家に依頼することも可能です。

ステップ④:土地境界線の確認
不動産を売却するときに必要となるもので主に隣地との境界線を明確にします。

ステップ⑤:複数の不動産会社に売却査定をしてもらう
査定は無料で依頼できるので複数社に依頼して、自分の利となる信頼できる不動産会社を選びます。

ステップ⑥:媒介契約を締結する
査定を終えたら自分が納得いく不動産会社と売却に必要な条件などを取り決め媒介契約を結びます。

ステップ⑦:相続した不動産を売却する
不動産の相続人が複数いて売却する場合は相続人全員の同意と売買契約書への署名捺印が必要となります。
複数の相続人が売買契約に立ち会うことが難しい場合は、売買契約を結ぶ際の代表者(相続人代表者)を決めておくこともできます。
相続人全員の同意により、代表者に売買の権限を委任すれば全員が契約に立ち会ったり署名捺印する必要はありません。
代表者を任命する際の委任状には相続人全員の署名捺印に加え、売買金額・受領する手付金の額・違約金の額及び契約解除や条件の期限・引渡し及び決済の時期・売却にかかる費用の負担について記載しておきます。

相続登記が完了し不動産の名義が亡くなった人から相続人に移れば相続した不動産を売却できるようになります。
売却方法は仲介と買取りの2つの方法があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
売却に時間がかかっても少しでも高く売りたい場合には仲介をおすすめします。
仲介のメリットは相場価格に近い価格で売却できます。
デメリットとしては、買い手が現れない場合は売却に時間がかかることです。

買取りのメリットはすぐに売却して現金化できる点です。買取り業者との条件が合えば一週間ほどで売却可能となります。
また買取りの場合、周囲に知られずに売却することも可能です。
買取りのデメリットとしては、仲介で売却するよりも売却価格が安くなってしまいます。
買取りの場合の売却価格は、仲介の7割程度となりますが、すぐに売却したい、すぐに現金化したい場合は買取がおすすめです。


ステップ⑧売却した代金を相続人で分ける
売却した代金がすべて相続人の手元に残るわけではなく、売却代金から売却にかかった費用や税金を差し引いた金額が、実際に相続人で分割できる額となります。
相続した不動産の売却が完了すれば遺産分割協議書の内容に沿って売却代金を相続人で分割します。
代表者が売買契約を締結した場合であっても売却にかかる費用や税金は相続人全員で負担するのが一般的です。
複数人いる相続人のうちひとりの人が不動産を所有することになる場合は、ほかの相続人が受け取るべき額を代償金として支払い所有権を得ることもできます。




□不動産売却の際にかかる費用と税金


不動産を相続して売却した場合、さまざまな税金を納める必要がありますが控除や特例を適用すれば納税額を抑えることが可能です。


*不動産を相続した際の相続税
亡くなった人から相続した財産には相続税が課せられますが、不動産も価額に応じた相続税がかかります。
相続した財産すべてに相続税がかかるわけではなく、法律で定められた基礎控除を差し引いた額に課税されます。
・基礎控除額の計算式 3000万円+(法定相続人の人数×600万円)
相続した財産の総額から上記の計算式で算出された基礎控除額を差し引いた金額に相続税が課せられます。


相続した不動産の売却にかかる費用


相続した不動産を売却する場合でも通常の売却時と同じ費用がかかります。
不動産会社に売却を依頼して仲介で売却した場合にかかる費用は以下となります。
*仲介手数料
*印紙税(契約書に貼付)
*抵当権抹消登記費用(住宅ローンが残っている場合)
*住宅ローン返済事務手数料(住宅ローンが残っている場合)
上記以外に土地の測量費用、建物の解体費用がかかる場合があります。


売却以外の方法


◆相続した人が住む
相続した不動産が家やマンションであれば相続した人がそのまま住むことも可能です。
亡くなった人の同居者が相続した場合は自然な流れですが、複数人で相続し居住希望者が複数人いる場合は誰が住むかで揉める可能性もあり、また複数人の共有不動産にした場合、住むことになった相続人が他の相続人に賃料を支払うとなった場合は手続きや清算などでトラブルになる可能性もあります。


◆賃貸に出す
賃貸に出した場合、家賃を固定資産税や管理のための費用に充てることが可能ですが、賃貸に出している家やマンションの管理は思った以上に手間や労力がかかりますし、入居者がいない間家賃収入はありません。
不動産会社に入居者の募集や管理を委託した場合は、仲介手数料や管理委託料が必要です。
相続人が複数いる場合、家賃収入や管理費用をどのように分けるのか、連絡係は誰にするのかといったことを決める必要があるので、それらのことから相続人が複数人いる場合、賃貸に出すことははあまりおすすめとはいえません。

◆更地にして駐車場経営
建物の解体費用が発生し、固定資産税は建物があった場合より高くなります。

◆空き家のままにしておく
相続した不動産をどのようにすれば良いのかわからず空き家のままにしておくことがよくありまが、空き家であっても固定資産税が課せられ、きちんと維持していくためには管理費もかかります。
適切な管理をせずにそのまま放置していると建物が傷んだり、雑草が生えたりして廃屋となる可能性があり、各自治体の空き家条例に抵触すると所有者へ勧告や措置命令が出され、強制的に建物が解体され費用を請求されることもあるため注意が必要ですので、相続したまま放置している空き家がある場合は、できるだけ早めに売却することをおすすめします。


□不動産の相続放棄をした場合


ほかの相続財産と同様相続放棄をすることができます。
不動産の相続放棄をできる期限は、相続を知ってから3ケ月以内です。
それを過ぎてしまうと放棄することができません。
相続した不動産に複数の相続人がいる場合は、自分の分だけを相続放棄することもできますが、不動産の相続放棄をした場合は、原則ほかの相続財産をすべて放棄しなければなりません。


不動産に限らず法族放棄などにより相続する人がいなくなってしまった場合、その相続財産は国庫に帰属されます。
帰属されるまでの間相続財産を管理する相続財産管理人を選任しなければなりません。
相続財産管理人を選任するのは家庭裁判所です。
裁判所は申し立ての内容や管理する財産を精査したうえで、管理人として最適な人を選任します。
第三者の弁護士や司法書士など専門家に任せる場合もあります。
相続財産や相続人との利害関係を考慮したうえで選任します。
財産管理人の申し立てから家庭裁判所による選任を経て相続財産が国庫に帰属されるまで最短でも1年程かかります。


□まとめ


家や土地などの不動産を相続した場合、特利用予定がなければ売却することをおすすめします。
特に相続人が複数人いる場合は、売却すれば公平に分割しやすく、売却してしまえば管理費用や手間や時間もかからなくなります。
相続した不動産を売却する際の特例や控除には適用できる期限があるため売却するなら早めに行動しましょう。



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