不動産売却時の残置物とは
不動産売却における残置物とは、家具や家電、家財、衣服などの私物も含め、不要物やゴミまで建物に残っていて動かせる物全てを指します。
不動産売却において不動産を買主に引き渡すときは、家のなかの私物はすべてを片付けて残さないようにするのが基本です。
残置物の例としては、タンス・ダイニングテーブル・ソファー・洗濯機・冷蔵庫・テレビ・衣類・布団・食器・エアコン・照明器具などさまざまなものがあります。
建物の外部については鉢植えなどは処分しますが、庭木や庭石などは残したままでも問題ありません。
その他見落としがちな物には、洗濯物を干す物干し竿、自分で取り付けた壁付フック、装飾のために貼り付けたシールなどがあります。
残置物撤去のときに壁紙を大きく破いてしまったり、壁を下地ごと破損させそうな物があるときには、残したままにしても良いか買主に相談してから処分を検討することも可能です。
残置物の処分方法
【1.粗大ごみを含め自分で処分する】
金銭的な負担が少ないのは粗大ごみも含めて自分自身で処分することです。
自治体によって対応は異なりますが、引取りの依頼をしたり自分でごみ集積場へ持ち込みます。
その他細かい物は日々のごみ収集などで捨てれば、手間はかかるものの費用の負担は少なくなります。
【2.処分業者にまとめて引き取ってもらう】
処分業者へ引き取ってもらう場合、手間はかかりませんが多くの費用がかかります。
処分業者に依頼をし、実際に見に来てもらってから残置物の処分費用を見積もってもらいます。
見積金額を抑えるコツは、見積もり前に仕分けをして自分で捨てられる物は自分で処分することです。
【3.リサイクル業者に売却する】
家具や家電で状態の良い物はリサイクル業者に売却することも可能です。
リサイクルと処分を兼ねている業者もあるので確認してみると良いでしょう。
不動産売却時に残置物がある場合に起こり得るトラブル
買主は許可なく残置物の処分ができません。
残置物は所有者本人が所有権を持っているため、所有者が所有権を放棄しない限り第三者が勝手に処分することはできません。
不動産売却したときに所有権の移転がおこなわれるのは対象不動産のみで、契約で取り決めしていない限りは残置物の所有権は売主のままです。
許可なく他人の物を捨てられないので勝手に処分するとトラブルになってしまい、最悪の場合裁判所も絡んだ複雑な手続きになってしまいます。
そしてかかった経費、その間使えなかった不動産への損金なども含めて損害賠償請求されてしまうトラブルにもなりかねません。
不動産を売却する際には残置物を処分センターに持ち込んで処分してもらうか、リサイクルショップなどに買い取ってもらうなどの対応が必要です。
また、残置物があると内見時の見栄えが良くないため、なかなか購入希望者が見つからないということにもなります。
早期売却を希望するのであれば、なるべく残置物を片付けて家のなかをすっきりとさせましょう。
買主との間でよくあるトラブルがエアコンを巡る問題です。
不動産購入時から建物に付いていたエアコンはまだ十分使えるという理由から、エアコンを撤去せずに不動産売却をする売主もいます。
買主が了承していれば問題ありませんが、了承がない場合には新たにエアコンを設置するときに既存エアコンの撤去費用がかかりトラブルに発展してしまいます。
エアコンを残すことに買主が了承した場合でも、今まで使えていたエアコンが故障してしまう可能性があり、またエアコンの故障によりトラブルに発展することもあります。
契約後や引き渡し直後のタイミングで故障するということもあるため、エアコンを残置物として残すときは、その旨も買主に説明し理解を求めましょう。
中古エアコンは契約不適合責任の対象外なのが一般的ですが、契約前に提示する付帯設備表や売買契約書に記載しておくことも重要です。
売買契約後にエアコンを残すことにお互い合意したときには、合意書の取り交わしをするなど徹底したほうが良いでしょう。
不要なトラブルを避けるためにも、購入希望者が設置されているエアコンも含め購入したいと考えているかを確認しておきましょう。
残置物を残したまま売却する方法
【1.不動産会社に買取してもらう】
体力的な理由や金銭的な理由で残置物の処分ができないときは、残したまま不動産売却するしかありません。
家具や家電などの処分が難しく残したままの状態で売却したい場合は、不動産会社に残置物ごと買取してもらう方法があります。
買取している不動産会社ならば残置物処分にも慣れているため、残置物を残したままでも買取できる場合があります。
買取した物件はリフォームして再度売却したり賃貸に出したりするため、リフォームと同時に残置物を処分することが可能です。
デメリットとして通常の売却方法よりも価格は安くなってしまいますが、残置物の処分に手間と費用をかけずにすむためその点は大きなメリットとなります。
ただし、残置物の処分費用を買取価格から引かれることがあるので、少しでも手元に多くの現金を残したい場合は可能な限り残置物を自分の手で処分することをおすすめします。
不動産会社が買い取るから残置物があっても問題はないということにはならないため、不動産売却の際にはできるだけ残置物の処分をして建物を空っぽにしましょう。
あくまで買取ならば残置物を残したままの売却に合意してもらいやすい、と考えておくと良いでしょう。
【2.残置物処分費用を売却価格から差し引く】
売却活動するときに契約条件として「残置物処分は買主負担とします」と添えておけば、買主はそれを承知で購入するため残置物を残したままでも問題にはなりません。
その代わりに売却価格を残置物処分にかかる費用の分安くする必要があります。
また売買契約時に残置物処分費用を差し引くなどの取り決めをしても問題ありません。
いずれにしても、売買契約の条件で残置物を残すことを買主から了承してもらえれば、残置物を残したままでの不動産売却も問題ありません。
デメリットとしては、残置物があまりにも多い場合やごみ屋敷状態の物件になってしまうと、買主も敬遠する可能性があるので、ある程度は片付けて残置物が最低限になるようにしておくことは必要です。
まとめ
不動産売却をする際、家具や家電などの残置物がある場合には、売主が処分しなければなりません。売却時に残置物を残したままだと大きなトラブルにもなりかねません。
買主の了承が得られてエアコンを残すときは、故障の可能性があることも想定しておきましょう。
残置物を残したまま不動産売却するときは、買取を利用したり残置物があること前提での売買契約にしましょう。
時間や費用面の問題から自身の手で残置物を片付けるのが困難な場合は、不動産会社に残置物ごと不動産を買い取ってもらうのもひとつの方法です。