投資用マンションの売却方法やコツ・注意点を解説します

2023-08-31



投資用マンションの賃貸経営は一般的に築年数が古くなるほど難しくなっていきます。
築年数が古いと空室になりやすくまた修繕費が増えていくのでそのような状況になる前に手放し、新しい物件に買い替えていくことにより賃貸経営は安定します。

今は投資用マンションを高く早く売却しやすいタイミング


理由①:2008年以降のマンション価格の推移をみるとマンション価格はおおむね上昇傾向で現在まで推移しています。
2023年7月のデータによると2023年4月は2010年の192.0%となっており、現在も大幅な上昇傾向をたどっていることから、所有するマンションが高く売却できる可能性が高くなっています。
中古マンション価格は上昇傾向にあり、利回りも上昇傾向の今は投資用マンションを売却するのに適したタイミングと言えるでしょう。

理由②:住宅ローンの低金利状態が続いていて買い手が見つかりやすいことから、投資用マンションを高く・早く売却できる可能性が高くなります。
一般的に住宅ローン金利が低い時は、住宅ローンの借り入れがしやすくお得に不動産を購入できることから不動産への需要が高まるため、マンションなどの不動産の売却に適した時期と言われています。

ただし、売却益で不動産投資ローンの残債を完済できない投資用マンションに関しては、自己資金を投入しなければならなくなるため、売り時だからとはいえ今年度中に無理に売却しようとせず売却のタイミングを検討するようにしてください。



売却するタイミング


投資用マンションを高く売却するために気をつけることとは、売却するタイミングです。
タイミングが適切でないと節税ができなかったりします。

≡タイミング①≡ 金利が安いときに売却すること
金利の変動に注目し、金利が低いときに売却することが高値で売却できるポイントです。

≡タイミング②≡所有期間が5年超になってから売却する
税金面からすると投資用マンションは、所有期間が5年を超えてから売却することが適切です。
5年以上所有した物件の場合は売却後の所得税率が異なります。

□譲渡所得の求め方
 譲渡所得 = 売却価額 - 取得費 - 譲渡費用
*取得費:
土地の場合は購入金額
建物は購入額から減価償却費を控除した価額

*譲渡費用:仲介手数料・印紙税など売却に直接要した費用

□税金 = 譲渡所得 × 税率
*税率:
1月1日時点において所有期間5年以下の場合は短期譲渡所得
1月1日時点において所有期間5年超の場合は長期譲渡所得

*短期譲渡所得:所得税率30%・住民税率9%
*長期譲渡所得:所得税率15%・住民税率5%

譲渡所得がマイナスの場合は税金は発生しないため、譲渡所得がマイナスとなってしまうような場合では、5年超を待たずに売却を考えてもいいでしょう。
売却しても利益が出ないのであれば5年を待たずに売却するのか、そのまま所有し続けるのかという判断になるので、査定に出して検討してみることをおすすめします。

≡タイミング③≡大規模修繕の実施後に売却する
無理に大規模修繕を待つ必要はありませんが、タイミング良く大規模修繕が終わったばかりであった場合は、売却するひとつのタイミングといえます。
大規模修繕の実施を待っているうちに築年数がどんどん古くなってしまうので、築年数が新しいということを重視するのでしたら大規模修繕を待たずに売却した方がいいでしょう。

≡タイミング④≡減価償却が終了する前に売却する
減価償却とは建物や備品、車両等の固定資産(土地以外の資産)の価値を減少させていく会計上の手続きです。
減価償却が終了する前に売却することもひとつのタイミングです。
減価償却費は実際に支出を伴う費用ではなく会計上の費用となるため計算される利益が少なくなります。
税金は利益に対してかかるので利益が小さくなれば税金も少なくなるため節税効果があります。
減価償却費は建物の耐用年数の期間内だけ計上されるので、耐用年数を過ぎてしまうと減価償却費が計上されなくなるため税金が上がることになり、キャッシュフロー(手残り)が悪くなってしまいます。
マンションは一般的に鉄筋コンクリート造あるいは鉄骨鉄筋コンクリート造で建てられており法定耐用年数は47年となります。

◆投資用マンションは築年数によって大きく資産価値が変わります◆
▪築20年以内の物件であれば評価も高く、新築と変わらず35年ローンでの借り入れが可能です。
ローンの返済期間が長いと月々の返済額が少なくて済むため、低利回りでも高く売却できる可能性があります。

▪築20年を超える物件の場合、評価額が高くてもローンを組める期間は15~25年ほどになり月々のローン返済額が大きくなるため、売却には一定以上の利回りが必要となります。

▪35年を超えると一部の金融機関ではローンを組めなくなります。たとえ組めたとしても短期間かつ高金利のローンとなります

投資用マンションはローンで購入することが一般的なので、よほど利回りの高い物件でなければ売却することは困難です。

以上のことから利回りが高い物件以外は築20年以内を目処に売却することがリスクが低いといえます。
築20年を超える前に売却すればより高く売れる確率が高くなります。
投資用マンションは築年数の経過や賃貸物件としての活用によって物件が劣化してしまい、価格が徐々に下がってしまいます。
また、市場が活発な3月や9月のタイミングであれば短期間で売却できる能性が高くなります。
進学や転勤など新生活がスタートする前の3月のタイミングや、夏休みが過ぎ暑さが和いでくる9月の頃は多くの人が不動産売買を行っているため、結果的に不動産取引件数が増加し市場が活発化します。
市場が活発な時期に不動産を売り出すことにより好条件で売却できる可能性があります。




投資用マンション売却の流れ


投資用マンションの売却の一般的な不動産の売却の流れとほどんど変わりませんが、売却後に賃貸人の地位承継通知(賃貸人変更通知書)を行うことが必要です。



≡売却の流れ①≡希望条件を整理して売却の計画を立てる
売却の希望条件が曖昧だと冷静な判断ができずに想定外の価格で交渉に応じてしまうことがあるので、そうならないためには不動産取引の流れを理解し、希望条件を明確にしておくことです。
希望する売却完了日と売却価格は必ず決めておくようにしましょう。
希望通りに売却が進まないことも多いので、想定外のことが起きた場合売却を中止するのか、また値下げをすることになった場合どのくらいを最低ラインとするのか、仲介会社を変更するのかなども考えておく必要があります。

≡売却の流れ②≡書類を準備する
不動産会社に売却の相談をするにあたり必要書類の準備が必要です。
必要書類は物件を購入するときに入手しているはずですが、手元にない場合には再発行が可能か問い合わせてください。
登記済み権利証の再発行には手間がかかりますので紛失しないよう注意が必要です。

**売却時に必要な書類**
・間取図
・登記事項証明書
・物件概要書
・建築確認通知書
・管理規約
・登記済み権利証

≡売却の流れ③≡不動産会社に査定を依頼する
マンションの査定を複数の不動産会社に依頼して、しっかり比較検討してください。
依頼する際は投資用物件の売却が得意な不動産会社に依頼するようにしましょう。
投資用マンションの場合、利回りや税金のほか賃貸契約の承継といった投資用マンションならではの手続きも必要となるので、投資用マンションの売買実績が豊富な不動産会社を選ぶことにより投資に関することにも相談にのってもらえます。
不動産会社によって数百万円単位で査定価格が異なることもあります。
最低でも3社には査定を依頼するようにすることをおすすめします。



≡売却の流れ④≡媒介契約を締結する
複数の不動産会社に査定を依頼した後は、その中から一番信頼できる不動産会社に売却の仲介を依頼をするために媒介契約を締結します。
媒介契約の種類
・一般媒介契約
[複数の不動産会社に同時に依頼可能・売主が買主を見つけて契約が可能]
・専任媒介契約
[不動産会社1社のみと契約・積極的な販売活動が期待できる]
・専属専任媒介契約
[他の不動産会社と契約不可・売主が買主を見つけることはできない]

≡売却の流れ⑤≡売却活動の開始
一般のマンション売却との違いとして買主が見るポイントが違い、投資家目線で判断するので投資用マンションを購入することによりどんなメリットがあるのかという点をアピールするようにすることが大切です。

[アピールポイント]
*賃貸需要はどのくらいあるのか
*利回りはどのくらいか
*節税対策はできるか
*近隣で大規模な開発の予定はあるか

※入居者がいる場合には内覧ができないため、修繕履歴やインスペクション結果の報告書、新耐震基準の適合証明書など物件の価値をあげる書類を用意して物件のアピールポイントを増やすようにするとよいでしょう。

住みたいと思ってもらえるように室内をできるだけきれいに、明るくしておくなど好物件であることをアピールできるようにしておきましょう。


≡売却の流れ⑥≡契約条件の交渉
購入希望者がいたら次は契約条件の交渉に入ります。
値下げ交渉を予め想定して売却価格を設定し、事前に値下げの最低ラインを決めておくとよいでしょう。
売却活動の内容に納得がいかない場合には仲介会社を変更することも視野に入れ、妥協せず慎重に売却条件を検討するようにしてください。

≡売却の流れ⑦≡売買契約を締結し手付金を受領する
購入希望者と条件面において折り合いがつけば売買契約を締結します。
売買契約締結時には、契約関係書類はすべて不動産会社で用意します。
売主が用意するものは以下のものとなります。
・実印
・認印
・運転免許証など顔写真付きの身分証明書
・印鑑証明書
・登記済み権利証
・収入印紙(売買金額により異なる)

≡売却の流れ⑧≡引渡し
売買契約締結の際は手付金を受領し、引渡しの際に残りの代金を受領します。
その後、関係書類や鍵を買主に渡し売買契約は完了となり、所有権の移転登記を行います。

≡売却の流れ⑨≡賃貸人の地位継承通知(賃貸人変更通知書)
賃貸人の地位継承通知とは入居者に対して所有者が変わったことを知らせる通知で、投資用マンション売却の際には必要な手続きとなります。
投資用マンションの売却は入居者に対して事前に了解を取る必要はなく、売却後に通知すれば良いことになっています。
賃貸人の地位継承通知は、新所有者(買主)と旧所有者(売主)の連名で行うことが必要です。

≡売却の流れ⑧≡確定申告
不動産売却で譲渡所得が出た際には、確定申告が必要となります。
確定申告は売却した年の翌年に行ないます。
損失が出た場合、居住用マンションであれば確定申告を行えば損益通算ができますが、投資用マンション売却では損失控除をすることはできません。



投資用マンション売却に必要な費用


≡仲介手数料≡(消費税別途)
不動産会社に対して支払う報酬です。
仲介手数料の上限額は売買金額に応じて以下のように求めます。
□200万円以下・・5%
□200万円超から400万円以下・・4%+2万円
□400万円超・・3%+6万円

≡印紙税≡
不動産の売買契約書は課税文書となっているので印紙を貼らなければなりません。
印紙税とは売買契約書に貼る印紙のことであり、売買金額に応じて印紙代は決まります。

≡抵当権抹消に関する費用≡
投資用マンションに抵当権が設定されている場合は抵当権抹消費用が必要です。
抵当権抹消に関する費用としては、抵当権抹消の登録免許税と司法書士へ支払う手数料があります。

投資用マンション売却で生じる税金


≡所得税・住民税≡

譲渡所得 = 譲渡価格 - 取得費 - 譲渡費用
・取得費:土地は購入額・建物は購入額から減価償却費を控除した価額

投資用マンションは毎年確定申告を行っているので建物の取得費は確定申告に記載されている年初末償却残高となります。

・投資用マンションの取得費の求め方
取得費 = 土地購入価格 + (建物購入価格 - 前年までの減価償却費累計額)

[税金の計算例]
・譲渡価格:3000万円
・取得費:2500万円
・譲渡費用:100万円
・所有期間:7年(5年超なので長期譲渡所得)

□譲渡所得 =[譲渡価格]3000万円 - [取得費]2500万円 =[ 譲渡費用]100万円 = 400万円
□所得税 = 400万円 × 15% =60万円
□復興時特別所得税 = 60万円 × 2.1% = 12,600円
□住民税 = 400万円 × 5% = 20万円
□税額 = [所得税]60万円 + [復興特別所得税]12,600円 + [ 住民税]20万円 = 812,600円

※譲渡所得がマイナスとなった場合は確定申告は不要のため特に何もする必要はありません。

≡消費税≡
投資用マンションは売却する時点で建物価格に消費税が生じているため、課税事業者であれば消費税を納税する義務があります。
売上高が1000万円以下の免税事業者の場合は消費税の納税をする必要はないことになりますが、売却した建物価格が1000万円以上であった場合、翌々年には消費税の納税業者となるのでその年には課税事業者として納税する必要があります。



投資用マンションを高く売るコツ


≡コツ①≡高く売却してくれる不動産会社を探す
投資用マンションは投資家に信頼されている、投資用物件を専門に扱っている不動産会社に依頼することが高値で売却するためのポイントです。
不動産会社により査定額にかなりの差が出ることがあるので、必ず複数の不動産会社に査定を依頼するようにしましょう。



≡コツ②≡入居者を埋めた状態で売却する
投資用マンションを空室状態で売却する際は想定賃料で収益価格を試算し売値を決めますが、本当に想定賃料で埋まるのかと疑念を持たれ値引き交渉の対象になってしまうというデメリットがあります。



投資用マンションの売却で失敗しないための注意点


■売却するまでの準備期間を設ける
不動産会社と媒介契約締結後、売却が完了するまでは一般的には3ヶ月から6ヶ月程かかります。
自分で相場を調べたり査定を受けたり必要な書類を揃えるといった準備期間は含まれていません。
売却時期が相場のピークに間に合わなければ意味がないので、早めに準備をしておくようにしましょう。

■信頼できる不動産会社に売却を依頼する
投資用マンションの売却は居住用マンションの売却とは異なり、投資や法律、税金、金融などさまざまな知識が不可欠となります。
また、利回りが良いからといってそれだけで簡単に売却ができるわけでもありません。
物件に合った適切な価格の設定を提案してくれる不動産会社に売却を依頼することが重要です。


投資用マンションを高く売却するためのポイントは、高く売却してもらえる不動産会社を探すことです。
信頼できる不動産会社に売却を依頼して高値での売却を実現しましょう。


ブログ一覧ページへもどる

まずはご相談ください!

0267-31-5363

営業時間
10:00~18:00
定休日

売却査定

お問い合わせ