仕事や家庭の事情によりせっかく購入したマンションに住み続けることができなくなってしまった場合、ただ空き家にしておくのはもったいないので、「売る」あるいは「貸す」のどちらかを選択をして資産の有効活用ができるようにしたいものです。
マンションを処分しなければならない理由として、相続で手に入れたマンションをどうにかしたい、購入した後に転勤になってしまったのでどうしたら良いかなど状況によっても判断が変わってきますが、抑えてきたいことはそのまま放置することは1つのメリットもないということです。
売却と賃貸はそれぞれにメリット・デメリットがあるためライフプランに合わせてどちらを選ぶか判断することが大切です。
マンションを「売却する」または「賃貸に出す」判断するポイント
≡ポイント① もう住むことはないのか≡
マンションを売却するか賃貸に出すかを決める際に最も重要なことのひとつは、将来的にその物件に再び住む可能性があるかどうかです。
再び住む予定がある人はよほど資産に余裕がなり限り空室のままにはせず、マンションを貸して副収入を得ることを考えることと思います。
もし転勤など住むことができない期間が定まっていて、再び住むような場合は賃貸にするという選択肢がありますが、その場合は普通借家ではなく定期借家契約にします。
貸す時の契約方法として「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。
賃貸にかかわる借地借家法は借主保護の傾向のある法律ですので、賃貸契約は一度結んでしまうと貸主の都合に合わせて契約を解除することはなかなかできません。
戻る時期が決まっている人には賃貸する期間の定めを設けた定期借家契約を結ぶことをおすすめします。
定期借家契約とは賃貸できる期間を定めることにより、契約期間終了後スムーズに入居することができます。
よくあるケースとしては、いつか住むかもしれないからと賃貸を選択したが、入居者なしの状態が長くなり固定費ばかりがかかってしまうという場合です。
いつか住むかもしれない・・と言いながら再び入居することは稀であり、また誰も住んでいない物件は傷みが激しくなりがちでかえって修繕費用などがかさむこととなります。
いつか住むから賃貸にするのか、もう住まないから売却するのかどちらかに決めるつもりで検討することをおすすめします。
≡ポイント② 再び住む予定がなく、管理が面倒なら売却
マンションをに再び住む予定がない人は維持や管理にかかるコストや手間が負担になるかどうかを考えます。
マンションを所有し続けるには固定資産税や管理費、修繕積立金等のランニングコストかかることに加え、管理組合の総会への出席や役員に選ばれたときにはさまざまな手続きや建物管理会社とのやり取りなどに時間を割かなければならならないこともあるので、このような負担が面倒だと感じる人は売却することをおすすめします。
≡ポイント③ 住宅ローンが残っている場合は金融機関に相談
注意すべき点として、住宅ローンが残っている場合は原則としてマンションを賃貸に出して収益を得ることはできません。住宅ローンは自分が住む家を買うための融資であることが前提だからです。
例外としてフラット35など金融機関の融資条件や金銭消費貸借契約の内容によっては賃貸が可能な場合もあるので、住宅ローンが残っているマンションを貸したい場合には事前に借入先の金融機関に相談してください。
また住宅ローンが残っているマンションを売却したい場合は、金融機関に相談すると残債があっても売却できる方法や買い替えに利用できる住宅ローンについてアドバイスがもらえます。
住宅ローンの残債がある場合、売却することによりローンを一括返済することが可能です。
売却による収入がローン残高を上回る場合その差額は利益となりますが、ローン残高が売却価格を下回る場合は自己資金を用意する必要があります。
≡ポイント④ 税法上の手続きを定期的に行うことに問題ないか
マンションを賃貸するということはそこから得られる所得は確定申告をする必要があり、副業として経営する場合も本業と合わせて確定申告が必要です。
賃貸経営に関して収入やかかった費用はすべて記載し書類を作成します。
売却する場合は契約手続きは不動産業者に仲介してもらい、購入時の価格より高く売れれば譲渡益を申告することになりますが税法上の手続きは一度だけで終わります。
名義変更など各種手続きはありますが、それも売却した年だけで終わります。
毎年その手間をかけるだけの収益があるなら賃貸にもメリットがありますが、そうでなければ売却して区切りをつけるのも良いでしょう。
賃貸にした場合の収益を試算したり、売却するなら現在の評価額を計るなどして比較し、さらにオーナーのライフプランに照らし合わせて慎重に選択したいものです。
≡ポイント⑤ 賃貸経営が可能か
マンションを賃貸に出す場合は不動産経営の一環として考える必要があります。
市場の賃料水準、物件の立地や状態、管理の手間など賃貸経営におけるさまざまな要因を考慮する必要があります。
賃貸経営が成功すれば安定した収入源となりますが、空室のリスクやメンテナンスコスト、税金などの負担も発生します。
売却した場合はこれらの管理や維持の負担からも解放されますが、一時的な資金獲得にとどまり長期的な収入源とはなりません。
[マンションを貸すメリット]
*家賃収入を得られる
マンションを賃貸賃収入が得られる
空き家をそのままにしておくと管理費など費用がかさむので、家賃収入が得られるのは大きなメリットです。
*マンションの価値を保つことができる
所有権を持ったままマンションを貸すことにより、資産価値を保てることもメリットのひとつといえます。
マンションを空き家として放置すると手入れが行き届かず劣化してしまいますが、人が住むことで空気が入れ替わり掃除がされるなどして劣化を抑えることができます。
*分譲マンションは相場より高い家賃で賃貸できる
賃貸用マンションより高額で貸し出すことができるというメリットがあります。
賃貸用マンションは短期間で入居者が入れ替わることを前提に造られていますが、分譲マンションは購入した人が住み続ける前提で設計して造られているので分譲マンションは賃貸マンションよりも間取りや管理サービスの質が高く、共用部分も充実しています。
そのため分譲マンションを賃貸に出す場合の家賃は一般的な賃貸マンションの家賃より高額に設定できます。
[マンションを貸すデメリット]
*物件の管理に手間がかかる
マンションを貸す場合入居者への対応に手間とコストがかかります。
入居者との連絡や定期的な点検や修繕の手配など継続的な労力が必要です。
また管理やトラブルの対応など物件の管理に手間と時間がかかり、それに伴い費用も発生します。
物件のオーナーとして自主管理する人もいますが、手間がかけられないなどの場合は管理会社へ委託するほうが無難です。
賃貸管理の相場は賃料によって異なります。
*空室リスクがある
入居者が退去した後、次の入居者を見つけるまでの期間は家賃収入が得られず経済的な負担が発生します。
特に競争の激しい地域、需要が限られる特定の条件を持つ物件の場合は空室期間が長引く可能性もあります。
空室リスクをできるだけ減らす提案をしてくれる不動産会社と見つけることが肝心です。
*家賃滞納などトラブルになるリスクがある
入居者とのトラブルや家賃滞納のリスクがあります。
入居者が家賃を滞納した場合や契約違反があった場合、法的な手続きやトラブル解決に時間や費用がかかることがあり、また、入居者とのトラブルはストレスや精神的な負担を引き起こす可能性もあるので入念な対策や契約管理が必要です。
*費用がかかる
マンションを貸す際には定期的な修繕費や管理会社への報酬などさまざまな費用が発生します。
また物件の状態によってはリフォーム等を行った方が入居者を募りやすい場合もあるため初期費用の負担が発生します。
これらの費用は収入に対してマイナスの影響を及ぼす可能性があるので、事前に計画を立てて適切な予算を確保する必要があります。
マンションを売却するメリット・デメリット
マンションの賃貸にはメリットもありますが長期的に考えるとデメリットも大きく、賃貸ビジネスに興味がなく確定申告が煩雑で面倒という人にとっては売却することをおすすめします。
諸手続きや支払いから解放されると同時に、管理組合から逸脱できるのでその煩わしさがなくなります。
[売却するメリット]
*売却代金を得られ一時的に大きな収入を得ることが可能です。
*固定資産税や管理組合で決められた管理費や修繕積立金などがかからなくなります。
修繕積立金は経過年数とともに上がる傾向があるので古くなってくると劣化や故障などメンテナンスにコストが増えたり、手間がかかったりすることがあるので、そういった負担から解放されることが売却のおおきなメリットといえます。
[売却するデメリット]
*条件によっては自己資金の持ち出しが必要になる場合があります。
住宅ローンが残っており売却代金がローン残債を下回る場合には、不足する分に自己資金を充てなければなりません。
*不動産という価値ある資産がなくなってしまいます。
金銭的とは別に長年住んで愛着のあるマンションには金額以上の価値があると感じる人もいます。
買い手・借主がつきやすいマンションの特徴
[交通・生活の利便性]
通勤や通学、ショッピングなど自宅からあまり時間や距離のかからない物件が重宝されます。
最寄駅やバス停からよく行く場所まで直接アクセスできたりなど、交通の利便性が高いと物件の状態が多少悪くても価値が下がりにくいといわれています。
交通と同様に毎日の買い物や、施設の利用に便利な物件も人気があります。
活気のある商店街や大型スーパーなどの商業施設や銀行・郵便局といった金融機関、学校や病院がアクセスしやすい場所にあれば、あまり利用しないとしても安心して暮らせます。
[住環境]
・専有面積の広さと快適性
リビングルームはもちろんのこと、キッチンやバス・トイレなど一つ一つが広いとゆとりが感じられます。
[日当たり・風しと住宅設備]
日当たり・風通しの良さは衛生的な住環境のためにはかかせません。
また住宅設備も充実していればより価値が高まります。
エアコンやトイレなど後から取り替えられるものはともかく、取替のきかない住宅設備は便利で状態の良い物が好まれます。
[防犯・防災対策]
オートロックや監視カメラなどの防犯対策されたマンションが増えてきましたが、防災のための建物や耐震、耐火といった防災対策も重視されるようになりました。
また洪水や土砂崩れなどがあった場合避難場所が近かったり、災害リスクの低い場所かどうかをチェックすることも必要です。
[環境の将来の成長性]
物件の周辺に主要幹線道路計画がある、再開発されてショッピングセンターができるなどといった地域の成長性によってもマンションの価値は変わってきます。
また住みやすいからと住宅が飽和状態にあり、マンションなどを新築する土地がないエリアは資産価値が下がりにくといわれています。
将来的に環境が改善され便利になれば借り手は増え、家賃相場があがるかもしれません。
まとめ
中古マンションの市場では築年数が浅いマンションほど買い手が付きやすく高値で取引される傾向があるので、売却するとなったらなるべく早い方が有利です。
マンションを売却する際はもちろん、賃貸に出す場合でもアドバイザーとして不動産会社は大きな役割を担うことになります。
良い不動産会社を選ぶためには複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼できる業者かどうかを見極めることが重要となります。