老後に家を売却することのメリット・デメリットと注意点を解説します。

2024-02-28



子どもが独立し、定年退職を迎える方は老後の生活についていろいろ考えていることがあると思います。
その一つとして老後に家を売却するか、最後まで所有するかということは大きな問題といえるでしょう。
老後に家を売却することには住環境を改善できる、老後の資金作りに役立つなどメリットがある一方、後悔につながりかねないというリスクもあります。
子どもが独立したのでコンパクトな家に住み替えたい、定年後の生活費の足しにしたい、終活したいなどの理由から老後に持ち家を売却して住み替えるという考え方が近年定着してきていますが、長年住み慣れた自宅を売却することに大きな不安があり決断が難しいという方もいると思います。
収入や体力が落ちてきてしまう老後の暮らしを安定させるためには、売却する前に十分検討を行うことが重要です。
高齢者が家を売却することによってどのような問題が解決され、またはリスクがあるのか、老後の暮らし方を検討している方のために高齢者が家を売るメリットやリスク、住み替え以外の選択肢など事前に知っておきたい知識や注意点を解説します。


老後に家を売却するメリット


□住環境を改善できる
持ち家を売却することにより老後の暮らしに適った家へ住み替えることができます。
たとえば子どもが独立して夫婦2人になった場合、部屋数が少ないコンパクトな家に住み替えれば管理が楽になり光熱費も節約することが可能となります。
また、定年後に通勤の必要がなくなった場合には自然豊かな静かな環境を選ぶこともできます。
身体に負担を感じる場合は、スーパーや病院、役所などが徒歩圏内にある立地の家へ住み替えると暮らしが楽になることもあります。

□老後に住ごしやすい家に住み替えできる
坂道や階段の多い地域に家がある場合は高齢になるにつれて外出時に歩くことが大変になることがあります。
また、現在車を使っている方は免許を返納した後に通院や買い物が不便に感じることが多くなることでしょう。
部屋に段差がある家に住んでいる方や、階段の上り下りをしなければならない場合は危険が伴います。
バリアフリー設計の家や階段のない家に住み替えることで安心して生活できるようになります。

□老後資金を確保できる
持ち家を売却すればまとまったお金を得られるので老後資金を作るのに役立ちます。
さらに固定資産税や都市計画税などの税負担を減らすことも可能です。
特に土地付き一戸建てを所有している場合は建物が老朽化していても土地の条件が良いと高い固定資産税を支払わなければならないため、こうしたケースに当てはまる方は、持ち家を手放して賃貸へ移った方が出費を抑えられる可能性があります。

□住宅ローンの返済負担がなくなる
持ち家を売却すれば売却代金で住宅ローンを完済できる可能性があります。
収入が落ち老後まで住宅ローンの返済が続いて負担になったり、予想より年金が少なく返済の目処が立たなかったりすることが避けられます。

□相続のトラブルを避けることができる
家や土地などの不動産は現金と違って分割するのが難しいので相続トラブルが発生するケースが多くあります。
トラブルを避けるために売却して現金化すれば平等に分けやすくなるので、相続人が多い方は家を売ることがあらかじめ検討しておくことをおすすめします。




老後に家を売却するリスク


□手間やストレスがかかる
家の売却には多くの手続きが必要となるほか、住み替えるための新居探し、荷物の処分、引越しなどさまざまな手間がかかります。
また、生活する環境が変わるとストレスを感じることもあり、高齢者の心身にとって大きな負担となる場合もあります。

□賃貸物件の審査が通りにくい
持ち家を売却してマンションに住み替えようと思っていても、収入が低かったり認知症や孤独死のリスクがあるなどの理由から高齢者は賃貸住宅の審査が通りにくい傾向があるため、入居先がある程度限られることをあらかじめ理解しておく必要があります。

□毎月家賃を支払う必要がある
持ち家を処分して住宅ローンや固定資産税などを整理できても賃貸住宅に入居することになれば毎月家賃や管理費がかかるため、老後の生活にとっては負担になることもあります。
住宅ローンと違い家賃は住んでいる限り毎月支払わなければならないので、老後の収入で家賃を安定して支払うことができるかどうかの確認は欠かせません。
安定した収入がある方は問題なく支払うことができますが、将来にわたって家賃を払い続けることができるのか資金計画を慎重に立てることが重要です。

□予想より売却価格が低い
家は経年に伴い価値が下がるのが一般的であるため、長年住んだ家の売却価格が予想していたよりも低いという場合があります。
特に住宅ローンの残債がある場合は、まず不動産会社に査定を依頼して売却価格で完済できるかどうかを確認しておきましょう。





老後に高齢者が家を売るべき状況


高齢者が家を売るメリットやリスクを踏まえて、高齢者が家を売ったほうがよい状況とは―

□老後に生活するには不便な家に住んでいる
病院から遠く通院するのに不便な場所にある、坂道が多く高齢者が住みにくい地域、家の階段の上り下りがつらくなってきたなど、現在の家で生活することに不便さを感じている場合は家を売却して、高齢者向けの家に住み替えることをおすすめします。
特に生活に欠かすことができないスーパーマーケットやコンビニ、病院、駅から距離がある家に住んでいる場合は引越しをしたほうが老後も安心して生活ができるでしょう。
また、一戸建に住んでいる方は階段の上り下りや建物や庭の手入れををしなければならず、高齢者には生活することが大変なことが多いためバリアフリーのマンションに住み替えるなどの対策が必要となります。

□老人ホームに入る予定がある
老人ホームに入る予定のある方は老人ホームに入居するタイミングで売却することをおすすめします。
特に老人ホームに入ることで家が空き家になってしまう場合は売却するべきでしょう。
誰も住んでいない家は劣化が早いので、後から劣化した家を売却するよりも綺麗なうちに売却することで高く売却できる可能性があります。
また、老人ホームに入って数年後に空き家を売ると税金が高くなってしまう可能性があります。
家を売却した際に利益が出た場合は譲渡所得税という税金がかかります。
譲渡所得税の税金対策として使える3000万円控除は住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却するという適用条件があります。
老人ホームに入ってから3年以内に家を売らなければ税金対策として使える特例の対象外となります。
家を売ることが決まっている場合はなるべく早く売却するようにしましょう。

□近くに面倒を見てもらえる人がいない
高齢者になると今まで自分ひとりでできていたことも人の助けが必要になる場面が多くなります。
近くに自分の世話を頼める人おらず不安な場合は、老後の生活を安心して過ごすためにも子どもや親せきの近くの家に引っ越しすることもおすすめです。





老後に家を売却する際の注意点


□元気なうちに行動する
認知症や病気の後遺症などにより判断能力が衰えると所有している家を自分で売却することができなくなり、その場合は成年後見人制度を利用して家を売却しなければなりません。
成年後見制度とは判断能力が不十分な人が生活するうえで不利益を被らないように、成年後見人が本人の代わりに適切な財産管理や契約行為の支援を行うための制度です。
本人に代わって子どもや親族、あるいは弁護士などが成年後見人として代理で売却を行うことになります。
成年後見人になって売却を行うためには家庭裁判所での手続きを経る必要があるので時間と費用がかかってしまいます。
また、子どもの代わりに弁護士が成年後見人に任命された場合は、弁護士への報酬も発生するので売却にかかる費用が増えることになります。
意思能力が欠けた状態になる前に売却することによりスムーズに売却することが可能となります。


□家を売却する際にかかる費用を把握しておく

*仲介手数料:(売却価格×3%)+6万円+消費税

*印紙税:売却金額により異なる(1000円~6万円)

*抵当権抹消費用:司法書士へ依頼した場合(1万円~3万円程度)

*住宅ローンを一括返済するための費用:一括繰り上げ返済にかかる金融機関への手数料(1万円~3万円)

*譲渡所得税:売却した年の1月1日での保有期間により異なる
保有期間が5年以下なら譲渡所得の39.63%
・保有期間が5年超なら譲渡所得の20.315%

*その他費用:解体費・測量費・引越し費用など


家を解体して売却することになった場合は家の解体費用が必要となり、土地の境界が明確でない土地を売却する際は測量費がかかります。
また、状態の良くない家を売却する場合はリフォーム費用が必要となるので、どの部分をどのようにリフォームしたら良いのか不動産会社と相談して決めるとよいでしょう。


売却する前の準備


売却を本格的に検討するには査定を受けることをおすすめします。
査定とは自宅がどのくらいの金額で売れるのか、不動産会社が調べて推定価格を提示することです。
査定価格を提示してもらうことにより住宅ローンの残債を返済できるか、どのくらいの期間と金額で売れそうなのか見通しを立てることができます。


住み替え以外の選択肢


□住み替えをしたくない場合はリースバックを利用する
相続トラブルなどが心配で売却したいけど家を住み替えたくないという場合はリースバックを利用するという方法もあります。
リースバックとは家を不動産会社に売却し、その後は不動産会社と賃貸借契約を結び売却した家に住み続ける方法のことです。
賃貸借契約を結ぶため毎月家賃を支払う必要はありますが、住み慣れた家で老後も生活を続けることができます。
また、家を売ることにより売却益を得ることができた場合は老後の生活資金に利用することができます。
今の暮らしを変えたくないという方に向いている方法といえます。

□リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは自宅を担保にして融資を受けるローン制度のことです。
自宅を保有したまま借入金を一括または定期的に受け取ることができ、返済方法は毎月利息のみを返済するタイプと契約者本人が亡くなった後に元本と利息を合わせて一括返済するタイプがあります。
利用には年齢制限があるほか、物件の価値によって融資限度額が決まるので希望より融資額が少なくなることもあります。
また、リースバックは資金の用途に制限がありませんが、リバースモーゲージの場合は事業や投資に使えないとされている点について注意が必要です。


転居先は慎重に検討しましょう

家を売却した後の転居先は老後の暮らしを考慮して慎重に検討しましょう。
スーパーマーケットや病院といった生活に必要な施設は近くにあるか、もしもの時にすぐ来てもらえる距離に子どもや知人は住んでいるかなどを事前に確認しておくことが重要です。
賃貸住宅には審査があるほか、老人ホームも定員で希望の施設にすぐに入居できないこともあるので転居先は早めに探し始めておきましょう。


売却の不安は専門家へ相談しましょう

老後に家を売却する場合は自分たちだけで決めずに周囲へ相談することも大切です。
たとえば子どもいる場合は子どもにとっては生まれ育った家がなくなることになるほか、転居先によっては親の様子を見ることが難しくなる場合もあるので、先ずは子どもに相談するしましょう。
同意を得ずに売却すると親子間でトラブルになってしまうこともあるため注意が必要です。
住み替えや相続のことを判断するには専門知識も必要となるため、分からないことや不安なことは専門家に相談することをおすすめします。


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