太陽光発電を設置した家は屋根に設置した太陽光パネルが受けた太陽の光を電気エネルギーに変換して、家庭内の電力をまかなう仕組みになっています。
発電した電力で足りなければ電力会社から不足分を購入し、反対に電力が余った時には売電できることが特徴です。
具体的には10Kwの太陽光発電システムがあれば年間で1200Kwの電力を発電することができ、これは一般家庭の年間電力使用量の約10%に相当します。
再生可能エネルギー源としての太陽光は化石燃料に比べて環境への影響が少なく、二酸化炭素の排出削減に寄与し環境保護に貢献します。
自家発電が可能な太陽光発電を設置した家を売却することになったときの相場は、通常よりも高く売却することが可能です。
一戸建てに搭載されている太陽光発電はメーカーによるシステム保証はほとんどが10年~15年付いてるため、設置から10年未満であればメンテナンス面についての心配はそれほどなく買主へのアピールポイントとなります。
太陽光発電がもたらす環境への貢献
太陽光発電付きの家はCO2の排出が少なく環境にやさしいという大きなメリットがあります。
具体的には一般的な家庭でのCO2排出量は年間で約5トンですが、太陽光発電ではその数値を年間約1トンまで削減することができます。
これは太陽光発電によって発電された電力は火力発電などに比べてCO2排出が非常に少ないからです。
太陽光発電は化石燃料を使わない生成可能な資源であるため枯渇するリスクがなく、持続可能なエネルギー供給が可能となる点が評価されるポイントであり、買取価格にも影響を与える可能性があります。
太陽光発の査定方法
中古の太陽光発電の査定方法は法定耐用年数を利用して価格を計算するのが一般的です。
太陽光発電は国税庁によって法定耐用年数が17年と設定されています。
≡太陽光発電の計算方法≡
[太陽光発電システムの現在価格]=
購入費用 − (購入費用 ÷ 17 × 購入してからの経過年数)
たとえば170万円で購入し、経過年数が3年の場合は140万円です。
設置から10年未満の場合
余剰分の電力を買取る固定価格買取制度(FIT)は2019年11月で廃止されましたが、それまにでFITの適用を受けていればその時点から10年間は固定価格で買い取ってもらうことができ、FITの期間中であれば所有者が変わった場合でも設置当初に契約した売電価格を維持できます。
そのため2019年11月までに設置した太陽光発電がFITの適用を受けており、かつ10年未満であれば価値が高いと考えられます。
設置から10年以上の場合
設置から10年以上経過してメーカー保証やFITが適用されなくなった場合には売りにくくなるのかというとそのようなことはなく、買取り期間が満了となっても自動継続となっていれば新しい単価で買取りは継続されます。
自動継続になっていない場合は新たに小売り電気事業者を見つける必要はありますが売電自体は可能です。
買取り契約を結ばなければ余剰電力は一般送配電事業者が無償で引き取ることになり、家庭用蓄電池や電気自動車などと組み合わせて自家消費も可能です。
家庭用蓄電池があれば地震や台風などの自然災害で停電したときでも自家発電した電気を蓄電し、夜間でも電気のある生活が可能です。
近年大きな災害が相次いているため蓄電池を備えた太陽光発電付きの住宅は、購入に際しても魅力を感じる人は多いといえるでしょう。
太陽光発電付きの家のメンテナンス
太陽光発電システムのメンテナンスはシステムの効率化と性能を最大限に引き出すため、また寿命を維持するために重要です。
専門の業者による定期的なメンテナンスがシステムの長寿命化と効率的な運用につながります。
主なメンテナンスには以下のようなものがあります。
◆パネルの清掃
太陽光パネルは外部に設置されているため汚れやほこり、鳥の糞などで覆われる可能性があり、発電効率を低下させる可能性があるため年に1~2回の清掃が必要です。
◆配線と接続部の点検
配線、接続、インバーターなどのコンポーネントを定期的に点検し、問題がないことを確認します。
専門の業者により年に1回の点検をおすすめします。
◆システム全体の点検
年に1回程度システム全体の性能をチェックすることが推奨されています。
特に台風や大雨などの自然災害後は損傷がないか確認することが重要です。
◆バッテリーのメンテナンス
太陽光発電システムに蓄電池が付いている場合、バッテリーの寿命や性能を維持するためのメンテナンスが一般的に5~10年に一度必要です。
◆樹木の剪定
太陽光パネルの周囲の樹木が成長すると日陰が発電効率に影響を及ぼすため定期的な剪定が必要です。
◆インバーターの点検
インバーターは太陽光発電システムの心臓部ともいえる部分で、通常5~10年毎に交換が必要です。
太陽光発電を設置した家を売却する方法
◆そのまま売却する
太陽光発電が付いていることは買主にとってもメリットになると考えられることから、そのまま売却することがもっともシンプルな方法ですが、太陽光発電が付いた家を売却する際には名義変更など特別な手続きが発生します。
◆設備を処分する
太陽光発電が付いていることはほとんどの場合買主にとってメリットとなりますが、設置してからかなりの年数が経過している場合は異なることがあります。
10年の保証期間が切れてから年数が経過し、継続的にメンテナンス費用が発生しているような場合は、買主は購入の条件として処分してほしいと望むこともあります。
そのような場合太陽光発電のシステムを処分したほうが売却がスムーズに進む可能性もありますが、撤去に際しては屋根の補修が必要になることもあるので、その場合はさらにコストが嵩むことになります。
◆新居に設備を移設する
設置してからそれほど年数が経っていなくて新居でも太陽光発電を利用したい場合、屋根と一体化しているタイプでない限りは移設は可能です。ただし、あまりおすすめはできません。
太陽光発電を移設するには取り外しや移送、新居への取り付けの費用が発生します。
また、太陽光発電はその家ごとに最適の方角や方法で取り付けてあるため、新居に持って行ったとしても効率よく発電できるかわかりません。
据え付け場所を移動した場合には保証の対象外となることもあります。
太陽光発電を設置したまま売却するときに必要な手続き
太陽光発電を設置したままで家を売却するときは名義変更などの手続きが必要です。
補助金利用の有無などによっても手続きが異なります。
◆経済産業省に名義変更を提出
太陽光発電を買主に引き継ぐ場合には経済産業省に名義変更を届ける必要があります。
届出は新しい所有者である買主が行います。
添付書類として双方の住民票の写しや印鑑証明書などが必要です。
◆電力会社での手続き
売電を契約している電力会社で契約者と振込口座の変更手続きをします。
この手続きをしておかないと買主が売電で得た収入が売主に振り込まれることになり、トラブルになる可能性があります。
手続きが完了するまで時間がかかるので、家を売却してから口座変更手続きが完了するまでの売電収入の取扱いを予め双方で話し合いをしておくようにしましょう。
◆国の補助金を受けて設置後17年経過していない場合
国が支援していた住宅用太陽光発電導入支援対策補助金を活用して太陽光発電を設置して17年が経過していない場合には、事前に財産処分承認申請の手続きが必要です。
これは補助金を受けた場合には法定耐用年数である17年間は補助対象のシステムを保守・管理する必要があるためです。
この手続きについては補助金の一部返還をともないます。
返還金額は残存簿価相当額に補助率を乗じて得た額とされており、補助された金額により異なります。
処分する前に申請を行わなかった場合は、補助金の全額返還を求めらえる可能性があるため注意が必要です。
◆都道府県や市町村の補助金を受けていた場合
都道府県や市町村の補助金を受けていた場合には、補助金を申請したときの窓口に必要な手続きを確認するようにしてください。
太陽光発電を設置した家を高く売却する方法
◆現在の太陽光発電の収支を明確にしておく
太陽光発電が設置された家の購入を検討する場合、売電による利益が得られるかどうか気になるものです。
利益が出るのであれば買主にとっても大きなメリットになり、マイナスになるようなら購入を考え直すことになるかもしれないため、買主が適正に判断できるように年間の収支を一覧にしておくとよいでしょう。
収支は直近1年間の売電収入から支出を差し引いたものとなります。
[支出の内容]
・点検・メンテナンス、修理にかかる費用
・固定資産税
・年間保険料
特に年数が経っている場合はどれくらいメンテナンスを行ってきたのか、記録が残っているようなら用意しておくことをおすすめします。
◆直近1年間の収支がプラスになっているなら買主にとって大きなメリットとなりますが、収支の結果マイナスになっているようであれば設備を処分した方が良い場合もあります。
ただし、収支がマイナスであっても蓄電池を備えているなら防災に利用できるため、買主にとってデメリットと感じることがない場合もあります。
蓄電池がなくても買主が自分で購入しようと考える可能性もあるので撤去する必要はなく、先ずは不動産会社に相談するようにしてください。
◆自分の家の太陽光発電の価格を計算しておく
太陽光発電は法定耐用年数(17年)を利用して計算するのが一般的です。
[太陽光発電システムの現在価格]
= 購入費用 − (購入費用 ÷ 17 × 購入してからの経過年数)
高い買取価格になる可能性が高い
太陽光発電システムが設置されている家は一般的な家に比べて5~10%程度高い価格で売却されることが多いです。
特にシステムが新しく高性能な場合はさらに価格が上がることもあります。
高く売却できる理由としては太陽光発電システムを持つ家はエネルギー効率が高く、長期的に電力コストが削減できるという点で、エネルギーコストが高い地域や環境意識の高い購入者にとって魅力的だからです。
また、再生可能エネルギー源を利用する家は環境への影響が少ないという点で評価されます。
環境に配慮したライフスタイルを求める購入者にとって、太陽光発電付きの家は魅力的といえます。
一部の地域では太陽光発電システムを設置した家に対して税制優遇されることにより、販売価格を高める要因となります。
太陽光発電付きの家の売却時の注意点
太陽光発電システムを備えた家を売却する際は、通常の不動産取引とは異なる重要な注意点がいくつかあります。
その中で特に法的手続きと必要書類の整備、太陽光発電システムの現状確認、適切な買主の選定方法について解説します。
法的手続きにおいては太陽光発電システムに関する特別な許可や登記、補助金の状況についての詳細な書類が必要になることがあります。
また、システムの状態や効率性を確認し、必要に応じてメンテナンスや修理の履歴を整理することも重要です。
さらに太陽光発電システムのメリットを理解し、環境への関心が高い買主を選ぶことが売却成功のカギとなります。
これらの要素を適切に管理することで太陽光発電付きの家の売却はスムーズに進み、適正な価格での取引が可能となります。
≡法的手続きと書類≡
太陽光発電付きの家を売却する際には通常の不動産売却に加え、太陽光発電設備に関する特別な法的手続きと書類が必要になる場合があります。
◆売電契約の譲渡
既に電力会社との売電契約がある場合、その契約を新しい所有者に譲渡する必要があります。
この手続きには特定の書類の提出や、場合によっては電力会社との新たな契約が必要になることもあります。
◆設備の評価
太陽光発電設備の現状を示す評価書や診断書を用意しておきます。
これは買主が設備の状態を理解し、適切な価格での取引を行うために重要です。
◆所有権移転登記
不動産の所有権移転登記はもちろん必要ですが、太陽光発電設備についても所有権の明確化が必要な場合があります。
◆設備の保証書やマニュアル
設備の保証書や取扱説明書、メンテナンスの履歴なども新しい所有者に引き渡す必要があります。
◆地方自治体の許可や届出
地方自治体によっては太陽光発電設備の設置や売却に際して特別な許可や届出が必要な場合があります。
≡太陽光発電システムの状態を確認する≡
◆システムの性能と効率
現在の太陽光発電システムの性能を確認し、発電効率が時間とともにどのように変化しているかを把握します。
パネルの効率が大幅に低下していないかどうかをチェックすることが重要となります。
◆メンテナンス履歴の確認
定期的なメンテナンスが適切に行われていたかどうかを確認します。
清掃・点検・必要な修理の履歴を確認した上、資料を整理しておきます。
◆物理的な損傷の有無
パネルや関連設備に物理的な損傷がないかをチェックします。
たとえばひび割れ、変形、腐食などの損傷があった場合、それがシステムの性能に影響を与える可能性があります。
◆システムの寿命
太陽光発電パネルの平均寿命は約25年ほどですが、これは設置環境やメンテナンスにより異なります。
システムがどの程度の寿命を経過しているかを確認します。
◆保証の有効性
製造元の保証がまだ有効かどうかを確認します。
保証期間内であれば売却時の価値を上げるために寄与する可能性があります。
◆エネルギー生成記録の確認
過去のエネルギー生成記録を確認し、発電量が一貫しているか、または時間とともにどのように変化しているかを確認します。
*これらの点を確認し、必要に応じて専門家の評価を受けることにより太陽光発電システムが家の売却価格にどのように影響を与えるかを正確に判断することができます。
良好な状態のシステムは売却価格を高める要因となり得ますが、メンテナンスが不十分であったり、性能が低下している場合はその逆となることも考えられます。
買主を選ぶ際のポイント
太陽光発電システム付きの家を売却する際に買主を選ぶプロセスは、一般的な家の売却とはいくつか異なるポイントがあります。
先ず買主が太陽光発電に対する理解と興味を持っているかがポイントとなります。
環境に配慮した生活を望む買主や、長期的なエネルギーコストの削減に興味を持つ買主は、太陽光発電付きの家により高い価値を見出す可能性があります。
◆エコ意識が高い買主
環境に優しい生活を望む買主は太陽光発のメリットを高く評価する可能性があります。
◆長期居住を考えている買主
太陽光発電システムは初期投資が必要ですが、長期的には電力費の削減につながるため長期居住を考えている買主にとっては魅力的です。
◆財務状況が安定している買主
太陽光発電システムのメンテナンスや必要に応じたシステムのアップグレードには費用がかかることがあるので、財務状況が安定している買主はこれらのコストを問題なく負担することが可能です。
◆専門的な知識や興味を持つ買主
太陽光発電や再生可能エネルギーに関する専門的な知識や興味を持つ買主は、システムの運用やメンテナンスにも積極的である可能性が高いです。
*これらのポイントを考慮して買主を選ぶことにより、売却後も太陽光発電システムが適切に運用される可能性が高くなります。
契約と法的手続き
太陽光発電システムを備えた家の売却においては、通常の不動産取引とは異なる特有の法的手続きが必要となります。
これらは主に太陽光発電システムの所有権、運用および補助金や税制面での扱いに関連しています。
◆所有権の移転
太陽光発電システムを家と一緒に売却する場合、その所有権の移転に関する手続きが必要です。
これにはシステムが家の一部として扱われるのか別の個別の資産として扱われるのかを明確にする必要があります。
◆補助金や契約の扱い
太陽光発電システムに対して国や地方自治体から提供された補助金や電力会社との余剰電力買取契約が新しい所有者に移行できるかどうかを確認します。
必要に応じてこれらの契約の譲渡手続きを行う必要があります。
◆税制面の考慮
太陽光発電システムに関連する税制面の影響を検討します。
◆ローンやファイナンスの確認
ローンやファイナンスを使って太陽光発電システムを購入した場合はその残債務の処理方法を確認し、売却時の手続きに適切に組み入れる必要があります。
これらの法的手続きは複雑であるため不動産の専門家や法律アドバイザーなどの協力を得ることをおすすめします。
太陽光発電システムの評価には専門の鑑定士が必要で、費用は約15~20万円程です。
また電力会社との契約変更には平均で2~3ケ月の期間が必要となります。
適切な法的手続きを確実に行うことで太陽光発電システム付きの家の売却をスムーズかつ問題なく進行させることが可能となります。
売却後の電力会社との契約
◆契約の譲渡
太陽光発電システム付きの家を売却する場合、新しい所有者に対して電力会社との契約も譲渡することになります。
この手続きは通常売却時に行われることが多く、売主と買主および電力会社の三者で確認と調整が必要です。
◆契約期間の再設定
電力会社との契約には通常一定の期間が設定されています。
家を売却するとその契約期間も新しい所有者との間で再設定されることが一般的です。
◆メンテナンス契約の変更
電力会社や第三者機関とメンテナンス契約を結んでいた場合、その契約も新しい所有者に譲渡されるかまたは解除されることもあります。
*以上の点を考慮し太陽光発電付きの家を売却する際には、電力会社との契約に関する手続きも重要となります。
売却する前にはこれらの点もしっかり確認し、新旧の所有者がスムーズに契約を引き継げるように準備しておくことが重要となります。